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2007年9月29日 (土)

飛べるじゃん!

 24時間営業のスーパーへPボトルを買いに、朝早く細い山道を下って行った。このところの猛暑で、買いだめていたお茶と真水のボトルがアッと言う間に底を突いたからだ。

 やっと人一人通れる道を、左右から草木が生い茂って塞いでいる。掻き分けながら進むと土道の真ん中に、一匹の油蝉が茶色の姿を横たえている。正確にはつんのめった格好で動かないでいる。もう9月末だというのに、まだ蝉がいるなんて思議なくらいだった。今年の暑さを物語っているような気がした。

 危うく潰す所だった。蟻もついて居なさそうなので、部屋に持ち帰ろうかと手を伸ばし掴もうとした瞬間、急にひっくり返って羽を激しくばたつかせた。仰向きながら必死に飛び立とうともがいたが、全く無駄だった。手に取ると、今度は千切れんばかりに思いっきり羽を動かす。”生きているじゃん”、浜弁がつい口に出た。”僅か7日の命か。雌は見つかったのか、上手くいったのか?その調子、その調子”訳もなく笑いが込み上げてきた。

 この分ならと空に放つと、林に向かって蛇行しながら勢いよく飛び去っていった。全盛期の頃を偲ばせる力強さで一目散に消えていった。”飛べるじゃん!”行方を追ったが、むろん分からない。ただ、深い森が有るだけだった。

 麓に駐輪しているバイクを駆って、スーパーへ飛んだ。陽が昇り、じりじり暑さが戻ってきた。2Lとは別に350mlのボトルをその場で一気に飲み干し、元気を付けて戻った。駐輪場にバイクを置き、再び山道をとって返した。

 同じ場所で、同じポーズでつんのめっている油蝉を見つけた。

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